親知らずの抜歯

大昔の日本人の平均寿命は現代人と比べて非常に短く(多分30歳くらい)、子供の智歯がはえる18歳頃には親は亡くなっていたようです。そんなことからいつの日か「親知らず」と呼ばれるようになったようです。英語では「知恵の出てくる頃にはえてくる。」という意味で、「wise tooth(智歯)と呼ばれていました。現在はwisdom tooth呼んでいます。

X線のように萌出する場所がない「親知らず」は手前の歯を強い力で押しています。その結果、前歯の歯並びが乱れることがあります。乱れるた歯は元には戻りません。

手前の歯の歯根部に大きな虫歯をつくった
手前の歯の歯根部に大きな虫歯をつくった
    智歯に押され前歯が乱れた
    智歯に押され前歯が乱れた

親知らずが手前の歯の歯根部に食い込み、大きな虫歯をつくってしまったX線像です。結局手前の歯の神経をとりました。残念!

X線のように萌出する場所がない「親知らず」は    
手前の歯を強い力で押しています。その結果、前歯の歯並びが乱れたりします。一度乱れた歯は元には戻りません。



左右の智歯が手前の歯群を押して、一番細い歯である前歯の歯並びを悪くする。智歯の悪影響で前歯や小・大臼歯の歯並びが凸凹になりますよ。凸凹になった歯は、親知らずを抜いて自然に戻ることはありません。また、歯並びの矯正をすることも非常に大変です。

また、智歯が手前の歯群を押すため、大小臼歯が微妙に傾斜し、上下の臼歯の噛合わせが狂ってギクシャクし、顎の関節に不調和を起こし一時的な 顎関節様症状(顎からポキンとか、カキンとか音がする)を起こすことがあります。


.智歯の手前の歯群との接触関係が悪いために物詰まりや歯垢の吹き溜まりなどが起こり、手前の第二大臼歯に虫歯や歯周疾患をつくってしまい、生涯大切にして欲しい歯を抜歯する羽目になる心配があります。

智歯抜歯後の第二大臼歯(智歯の手前の歯)の後ろ側の虫歯。歯垢に隠れていますが、根露出面にできた大きな虫歯です。


女性の場合は、妊娠という事を経験する可能性があるわけですが、妊娠の時に智歯周囲が腫れて、痛んだ場合、あなただったら歯を抜きますか?麻酔注射をしますか?鎮痛剤や抗生剤などの薬を飲みますか?(本当はさほど心配はない場合が多いのですが、心配しますよね。)おなかの赤ちゃんのことが心配になりませんか?逆に、妊娠中に痛んで腫れた智歯を抜かなかった場合、あなたの温が上昇したりしますが、体温上昇が長く続くと、胎児にいろんな影響を与えるかもしれません。何もない事を祈りますが、心配ですよね。そんな事態を予測して、智歯はちゃんと20歳くらいまでに抜くことをおすすめします。また、結婚する前に抜くことをおすすめします。


  いろんな生活環境・状況がありますので、しっかりとかかりつけの歯科医院で相談し、決められたらいかがでしょうか。なかなか智歯の問題は難しいですね。それから、もし抜歯をする場合は、ちゃんとした専門医(口腔外科専門医)に抜いて頂くのがよいでしょう。下顎の智歯を抜歯する際に、知歯が顎骨の中にある神経や血管に異常接近した方がおられます。 そんな場合、偶発な事故として大量の出血や唇がしびれたりする事がありますので、大学病院か、口腔外科専門医がいる医院の方が安全です。

当医院では抜歯専門(歯科口腔外科認定医)の先生に来ていただき、安全・安心な抜歯をしていただいております。

「かかりつけの歯科医院で親知らずを抜くように言われたのですが、今のところ痛みもないし、抜くのが怖いので抜きたくないのですが、、、?やはり抜歯した方が歯の健康のためには良いのでしょうか?」
      ********* 回 答 *******
多くの方々が智歯(親知らず)でお悩みのようで、よくこのような質問を頂きます。親知らずを抜くべきか否かの結論を申し上げます。いろんなケースにぶつかりますが、私の20年の経験から、不調和(不正常)な智歯であれば抜歯をおすすめします。それも20歳までに抜歯することをおすすめします!当然、口腔内の智歯の萌え具合などを診ないと何とも言えませんが、、、、、。日本人の智歯は正常に口の中に萌えてこないケースが多く見られ、手前の歯すなわち2大臼歯に途中まで萌えてひっかかってる場合や、最初から完全に真横向いて顎骨の中に寝ころんでる(水平埋伏智歯)場合などが多くみられるようです。そして、智歯の周囲の歯肉をよく観察すると、歯肉ではなく、喉からの粘膜やほっぺたの粘膜などが智歯の周囲に接しているのが見られます。(歯が口腔内に健康に存在する条件としては、歯の周りに最低23
mmくらいの歯肉の存在が必要です。
笑っても動かない歯肉が歯の周り存在しないと、歯と歯肉の間の溝に食べかすが簡単に入り込んでしまい、炎症を起こします。これが歯周病なのです。)
殆どの日本人には智歯が綺麗に口の中に萌えるスペースが不足しており、存在条件を満たしていないことが多いです。ですから、智歯を抜歯することをおすすめするのです。但し、第二大臼歯が大きな虫歯で抜歯状態にある時などは智歯をその歯の代用として移植に利用するために抜かずに残すこともまれにあります。
先々どうしても歯牙移植などに使用するのであれば、残しておけばよいかもしれませんが、移植すると言うことは、智歯の手前の第二大臼歯が大きな虫歯が大きな虫歯になったことを意味するわけで、原因が智歯にあることが多く、そんなことにならないためにひねくれた(不健康な)智歯を先に抜くことをおすすめするのです。いろんな不快症状を自覚することが多々でてきますよ。