酸蝕症の話

 


DentalTribune 2007.6より抜粋

 

あなたも酸蝕症になってませんか!?

 

最近のヘルシー志向と食事の欧米化に伴い、ワイン・黒酢・柑橘類・ビタミンC
サプリメント・清涼飲料水のコーラなど、強い酸を含む飲食物をたくさん摂取し
てませんか?もし、強い酸性の食品を飲食したら、飲食して1時間経過してから
歯を磨きましょう!エナメル質が摩耗してだんだん薄くなっていきますよ!

 


DentalTribune 2007.6より抜粋

 

酸蝕症とは

ビタミンCを多く含む柑橘類(レモン、グレープフルーツ、オレンジ等)や、ビタミンC剤などの
サプリメント、また各種飲料物など、酸性の強い飲食物を摂る機会が増えたために、知らないうち
に歯表面のエナメル質が溶けてしまう恐ろしい第3の病気が急増中しています。それは酸蝕症です。
虫歯は虫歯菌の感染で起こりますが、酸蝕症は飲食物中の強酸によりエナメル質が溶ける病気です。
これら天然の柑橘類はPH4以下と強酸を示し、なかでもレモンはもっとも強いPH2を示します。
飲料品ではコーラが PH 2.2、黒酢が PH 3、白や赤ワインが PH 3.2 と強い酸性を示しています。
人の歯は PH 5.5 くらいで溶け始めます。PHが2.2~3.2 というのはとても強い酸なのです。
これらの食品の飲食方法を間違えると、あなたの大切なエナメル質がだんだん溶けてしまいます。
身体に良いことをしても、歯に悪い影響を与えている場合があるのです。しっかりとご注意下さい。
これら強酸性食品の摂取後30分、すなわちまだ口腔内の唾液が中性化していない段階で歯ブラシ
でゴシゴシ磨くと、エナメル質表面はがやわらかい状態なので簡単に摩耗しやすく酸蝕症になって
しまいます。強酸性の食品を飲食した時は、お茶などで中和して1時間以上経過してから歯を磨き
ましょう!さらに糖尿病などの生活習慣病がある方は、唾液の流出量が少ないために口腔内が常に
乾燥しており常に強酸に浸されることになるので酸蝕症には要注意です。
酸蝕症、あなたは大丈夫ですか!?

 

酸蝕症の症状

強い酸性飲食物を摂取することで、だんだんエナメル質が溶けて、摩耗したり咬耗したりします。
それに伴い象牙質が透けて黄色く見え審美障害などを起こします。さらに進行して虫歯になったり、
神経を取ってしまうような重篤な症状となる場合もあるのです。

 

身近な酸蝕症の例

・毎晩勉強に頑張る余り、コーラをチビチビ飲みながらの長時間勉強する受験生。
 (もちろん砂糖入りコーヒーをチビチビ飲んでの虫歯の場合もあります。)
・ビタミンCは健康によいと、お母さんがレモンをかじらせる乳幼児。
・健康志向で、柑橘類を多く摂取したりする人やビタミンCなどのサプリメント愛飲者。
・「飲泉」と言って、酸性の温泉の湯を飲むことで酸蝕症を起こしたります。
・やはり健康志向で各種の酢を飲んだり、リポビタンAなどの滋養強壮剤をガンガン飲んだりする人。
・食事の欧米化で、ワインやコーラを毎日愛飲する人。
・オーラルケアとして各種うがい薬(マウスリンス)を毎日多回数使用する人。

 

では、どうすれば防げるの?

・まずは、強い酸の飲食物の怖さを知ることです。思わぬところで酸蝕症の原因となる飲食物がある
 こと知ることです。そしてそれらの飲食物と上手につき合う方法(上手な食べ方)を知ることです。
・強い酸性の食物を飲食したらできるだけ早くお茶や水などで中和することが大切。中和した後は約
 1時間くらいは歯を強く磨かないこと。歯磨きは柔らかい歯ブラシで磨くこと。
・フッ化物(フッ素ジェルなど)で毎日エナメル質を強化すること。
・定期検診を行い、歯の表面の軟化・脱灰・知覚過敏・歯の変色、歯の形の変化など酸蝕症傾向がな
 いかどうかのチェックを受けることが大切です。

 

 


DentalTribune 2007.6より抜粋

 

 

光を使っての酸蝕症検査
歯の先端部分が半透明が進行していたら酸蝕症