キシリトールとリカルデントについて

「歯にやさしいガム」、「虫歯にならないガム」と言ったチューインガムやタブレットをスーパーやコンビニで数多く見かけるようになりました。その代表的なものにキシリトールガムやリカルデントガムなどがあります。では、どれが良いのか?虫歯予防効果があるのか?よくわからない方が多いのではないでしょうか。これらの特徴について簡単にご説明致します。


<キシリトール>

キシリトールは白樺や樫に含まれる天然素材の甘味料(米国では添加物)です。主にフィンランドで作られてます。虫歯菌(M.S.)がキシリトールを分解して虫歯の原因となる酸を作ることができないために虫歯ができにくいことが特徴です。さらに、M.S.菌自体も、キシリトールを分解する際に無駄にエネルギーを消費してしまい、分裂・増殖が阻害され、徐々に菌数が減少していくと言われています(このメカニズムには異論もあります)。また、キシリトールは糖アルコールの独特の清涼感のある甘さは、唾液の分泌を促し、しかも酸を作らないので、唾液がアルカリ性に傾き、歯の脱灰を抑え、再石灰化を進めやすいと言われています。このキシリトール製品は日本では数多くみられますが、海外、特にアメリカ国内でキシリトール製品はほとんど見られません。日本では過剰な評価がされていることも忘れないで下さい。

注意:フィンランドがキシリトール効果で世界一虫歯が少ない国として評価されていますが、キシリトール効果のみで世界一になったわけではなく、その裏でしっかりと地域活動を行ってきた歯科衛生士さん達の地道なフッ化物の普及により達成したことを加筆しておきます。


<リカルデント>

オーストラリアのメルボルン大学のエリック・C・レイノルズ博士が20年の研究の末に開発したリカルデント(CPP-ACP)は、牛乳に含まれる成分から作られた天然由来の成分で、キシリトールのような甘味料ではなく無味無臭の添加物です。リカルデントのガムの甘味料としてキシリトールやアスパルテーム(合成甘味料)などが多く使われています。その特徴は、歯のエナメル質がカルシウムやリン酸塩を取り込みやすくし、歯の再石灰化を促進し、再石灰化した部位の酸に対する抵抗力を高めることです。初期むし歯程度であれば再石灰化による修復可能と言われています。


*リカルデントには牛乳由来成分が含ま

 れておりますので、牛乳由来成分に対

 してアレルギーを持つ方にはお薦めで

 きません。

*リカルデント(CPP-ACP:カゼインホスホペプチド- 非結晶リン酸カルシウム複合体)



 

<どんな時に利用するの?>

 

  虫歯菌(M.S.菌)の働きをある程度抑制し、M.S.菌の数を減少させると言われているキシリトールと一方の歯の再石灰化を促進し、耐酸性を高めるリカルデント、これらの性質の違いから、状況によって使い分ける必要があります。

 

例えば、妊娠中育児中のお母さんは、キシリトールガムを噛んでお口のなかの虫歯菌を減らすことができれば、子供さんへの虫歯菌感染を防ぐことができます。また、インシュリン非依存性のために糖尿病の患者さんの代替糖としてとても有益なので大いに利用されることをおすすめします。

 

初期虫歯がある方は、リカルデントガムを噛むことで再石灰化による修復が可能になると思います。また生活習慣病による唾液分泌が少なくなった方にはリカルデントガムを噛むことで唾液の分泌量が増えて清掃効果を高める一方、カルシウムやリン酸塩の補給されることで、歯の脱灰後の迅速な再石灰化による修復が期待されます。

 

 

 

*キシリトールやリカルデントは、むし歯予防に一定の効果は期待できますが、

 あくまでも補助的なものであり、日頃のホームケアや定期健診は必ず行うよう

 にしましょう!